実家をゴミ屋敷空き家にしないための親子の対話
「うちの親に限って大丈夫」そう思っていても、親の高齢化や体力の低下は、誰にでも訪れる現実です。元気だと思っていた親の家が、いつの間にかゴミ屋敷となり、やがては管理の行き届かない空き家になってしまう。そんな悲しい未来を避けるために最も大切なのは、親が元気なうちに、親子で将来についてオープンに話し合っておくことです。これは、決して縁起の悪い話ではありません。むしろ、親が築いてきた大切な家と財産を、子どもたちが負担に感じることなく、円満に受け継ぐための愛情のこもった準備なのです。まず、きっかけとして「生前整理」を提案してみてはいかがでしょうか。「地震が来た時に危ないから、高いところの荷物を降ろすのを手伝うよ」「もう使わないモノを片付けて、すっきりした部屋で暮らさない?」といった形で、親の気持ちを尊重しながら、一緒に片付けを始めるのです。この共同作業を通じて、家の中にどれだけのモノがあるのかを親子で把握することができます。同時に、家の権利書や預金通帳、保険証券といった重要書類の保管場所や、いざという時の連絡先などをまとめた「エンディングノート」を一緒に作成することも有効です。そして、最も重要なのが、親がこの先、その家でどのように暮らしていきたいのか、そして将来的に家をどうしたいのかという意思を確認することです。子どもが家を継ぐのか、売却するのか、あるいは誰かに貸すのか。親の希望と、子どもたちの状況をすり合わせておくことで、いざ相続が発生した時に、兄弟姉妹間でのトラブルを防ぐことができます。親子の対話は、時にデリケートな問題を伴います。しかし、お互いを思いやる気持ちがあれば、必ず乗り越えられます。元気なうちに話しておくその一手間が、未来のゴミ屋敷空き家を防ぐ最大の予防策となるのです。