自宅や実家、あるいは近所の家がゴミ屋敷と化してしまい、途方に暮れた時。「誰に、どこに相談すればいいのだろう」という切実な問いに対する最初の、そして最も確実な答えが「市区町村の役所」です。なぜ、弁護士や清掃業者ではなく、まず役所に相談することが最適なのでしょうか。その理由は、役所がこの複雑な問題に対して、最も中立的かつ包括的なアプローチができる唯一の公的機関だからです。ゴミ屋敷問題は、単に部屋が汚いという物理的な側面だけでなく、その背景に住人の生活困窮、精神疾患、社会的孤立、高齢による心身の衰えといった、根深い福祉的な課題を抱えているケースがほとんどです。専門の清掃業者は物理的な片付けのプロですが、住人の生活再建までをサポートすることはできません。弁護士は法的な解決の専門家ですが、福祉的なケアを行うことは専門外です。その点、役所は、環境課、福祉課、保健課、高齢者支援課など、様々な専門部署が連携できる体制を持っています。相談を受けると、まず問題の核心がどこにあるのかを多角的にアセスメントし、そのケースに最も適した部署や支援サービスへと繋いでくれる、まさに「司令塔」のような役割を果たしてくれるのです。例えば、住人が高齢であれば地域包括支援センターへ、経済的に困窮していれば生活福祉課へ、精神的な問題が疑われれば精神保健福祉センターへと、専門家たちのネットワークへと橋渡しをしてくれます。また、近隣住民や大家さんからの相談に対しても、個人の利害関係を超えた中立的な立場で、法律や条例に基づいた適切な対応をとることができます。問題を一人で抱え込み、どの専門家に頼ればいいか分からない時、まずは役所に相談すること。それが、複雑に絡み合った糸を解きほぐし、根本的な解決へと向かうための、最も確実で安全な第一歩と言えるのです。
ゴミ屋敷問題、最初の相談はなぜ「役所」が最適なのか