親の家がゴミ屋敷になってしまった。しかし、年金暮らしの親に片付け費用を捻出する余裕はなく、子である自分も経済的に支援することが難しい。このような「共倒れ」の危機に直面し、途方に暮れているご家庭は少なくありません。この困難な状況を乗り越えるためには、家族だけで抱え込まず、地域社会に存在するセーフティネットを積極的に活用することが鍵となります。まず、何よりも先に相談すべき場所は、親御さんがお住まいの地域にある「地域包括支援センター」です。ここは、高齢者の介護、福祉、医療、権利擁護など、あらゆる相談を受け付ける公的な総合相談窓口です。保健師や社会福祉士、ケアマネージャーといった専門職が在籍しており、無料で相談に乗ってくれます。センターの職員に「親の家がゴミ屋敷状態で困っているが、親子共に費用を負担する経済的な余裕がない」と正直に伝えることが第一歩です。相談員は、まず親御さんの心身の状態や生活状況を丁寧にアセスメントしてくれます。もし、ゴミ屋敷化の背景に認知機能の低下や身体的な衰え、セルフネグレクトといった問題が見られれば、要介護認定の申請をサポートしてくれます。要介護認定を受けることができれば、ケアマネージャーがつき、介護保険サービスの利用が可能になります。例えば、ヘルパーによる定期的な訪問で少しずつ片付けを進めたり、他の公的な支援制度につないでもらえたりする可能性があります。また、社会福祉協議会の貸付制度の利用を検討するなど、具体的な解決策を一緒に考えてくれます。大切なのは、問題を家族だけで背負い込み、精神的に追い詰められないことです。地域包括支援センターは、そんなご家庭のために存在しています。一本の電話が、親子関係を壊すことなく、安全な生活環境を取り戻すための突破口になるのです。
実家のゴミ屋敷費用がない親子で乗り越えるには