高額な原状回復費用、大家さんや管理会社との気まずい対面。ゴミ屋敷からの退去という厳しい現実を前に、「いっそのこと、誰にも告げずに夜逃げしてしまえば全てリセットできるのではないか」という悪魔の囁きが聞こえてくるかもしれません。しかし、これは断じて解決策ではなく、自らの人生をさらに困難な状況へと追い込む、最悪の選択です。夜逃げをしても、問題から逃げ切ることは絶対にできません。その先には、さらに悲惨な末路が待ち受けています。まず、あなたが逃げた後、全ての責任と請求が誰に向かうか。それは、賃貸契約時に立てた「連帯保証人」です。多くの場合、それはあなたの親や兄弟といった、最も身近な家族でしょう。大家さんは、あなたに代わって、連帯保証人に対して、数十万円から数百万円にものぼるゴミの撤去費用や原状回復費用を請求します。あなたが自分の問題から逃げた代償を、あなたの大切な家族が支払うことになるのです。これは、金銭的な負担だけでなく、家族からの信頼を完全に失う、何よりもつらい裏切り行為です。連帯保証人がいない場合や、連帯保証人も支払えない場合、大家さんはあなたを探し出し、損害賠償請求訴訟を起こします。住民票を移せば新しい住所はすぐに分かりますし、弁護士は職権であなたの情報を照会することができます。「逃げ切れる」という考えは、あまりにも甘い幻想です。裁判所からの通知を無視し続ければ、欠席裁判であなたの敗訴が確定し、裁判所から「支払督促」や「差押命令」が出されます。これにより、あなたの給料や銀行口座が差し押さえられ、生活はさらに困窮することになります。また、家賃保証会社を利用していた場合、滞納やトラブルの情報が信用情報機関に登録されます。いわゆる「ブラックリスト」に載ることで、将来、クレジットカードの作成やローンの契約、さらには新しい部屋を借りることさえも、極めて困難になります。夜逃げは、一時的な現実逃避に過ぎません。その代償は、金銭、家族、そして社会的な信用という、人生で最も大切なものを全て失うことなのです。
ゴミ屋敷のまま夜逃げは最悪の選択。その後の悲惨な末路